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RWC⑦ アイルランドの叫び3

 サッカーワールドカップの2018年ロシア大会ではクロアチアが準優勝、MFモドリッチは、同年のバロンドール(FIFA最優秀選手賞)を受賞。授賞式では、Z.ボバンについて語ります。

 1998年フランス大会は記憶に残る大会です。日本が初めて出場した大会だからでもありますが、血みどろのユーゴスラビア内戦を経たクロアチアが初出場して3位入賞したからです。中心にいたのがZ.ボバン。フランス大会に先立つ1990年、クロアチアとセルビアの対立を背景にしたプロチームの試合で起こった暴動で、セルビア側の警官隊と乱闘を起こして9か月間の出場停止処分を受け、1990年イタリア大会に参加できなくなります(一説には子供を殴ったセルビア人に激高して跳び蹴りを浴びせたとされます)。歴史学で博士号を取得するほどの知識と見識を備えていると見られており、内戦の際は「私は100人の政治家ができないことができる」と語ったとされます。そうしたいきさつもあり、98年当時大きな感動を呼びました。

 時があえばそうしたことがらが話題になります。

 スポーツと情勢は切り離せません。


 1979年に起きたソ連邦によるアフガニスタン侵攻は、雪解けに向かっていた冷戦の新たな局面の始まりとされますが、アメリカや旧西ドイツ、日本など西側諸国とイスラム諸国約50カ国が翌1980年モスクワオリンピックをボイコットしました。その報復として東側諸国が次の1984年ロサンゼルスオリンピックをボイコットします。スポーツと政治の関係が取り沙汰された出来事でした。

 「オリンピック停戦」は、オリンピックの期間中の停戦を呼びかけ、対話と平和を促す試みです。平昌オリンピックの際にスケートのキム・ヨナ選手が停戦を呼びかけたのは記憶に新しく、今回の東京オリンピックでも組織委員会はやはり停戦を呼びかけています。 


 私は思います。今回のラグビー・ワールドカップでアイルランドの人々が特に何かをアピールをしているわけではないでしょう。しかし、アイルランドの選手が肩を組んでいるのを見て、「アイルランズコール」を聞いて、そこに象徴を読み取れば、なおすました顔ではいられない。「肩を組んで/shoulder to shoulder」は、人類の光明のひとつの姿ではないか、と。

 19日の準々決勝、アイルランドはニュージーランド・オールブラックスと戦います。