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学習の技術講座⑤ 暗記・記憶術

 「学習の技術講座」、「メモの取り方」の次は「暗記・記憶術」です。

 暗記・記憶術に関するハウツーものは世上多く見られます。科学的な知見も加わって説得力のあるものも多いようです。われわれが中学生相手に行っている暗記・記憶術が、それらと比べて格別優れているというつもりはありません。暗記・記憶術なるものは各人にとってピッタリするやり方が確立されればそこから先が重要なのであって、特に主題化するほどのものではないでしょう。講座の一テーマとして取り上げる意図は、暗記・記憶の方法に関する認識を喚起することです。あとは各人が試行錯誤して獲得していくことが望ましいと考えています。


 「記憶」には、短期的な記憶と長期的な記憶とがあると言われています。両者は脳内において司る器官が異なり、短期的な記憶は短ければ数秒で忘れてしまいますが、長期的な記憶は忘れることはあっても何かのきっかけが与えられればすぐに呼び起こすことができ、完全に忘れることはないと言います。学習の場に引きつけていえば、短期的な記憶としてあることがらを、いかに長期的な記憶として保存しておくか、その際呼び出すための「きっかけ」をいかに仕掛けておくかということが問題となります。

 長期記憶として定着させるためには、繰り返し触れることが必要です。何回繰り返せば定着するかということは記憶内容や記憶者の状態によって異なりますので、○回繰り返すと一概に決めてしまうのはあまり効率的であるとは言えません。重要なことは、記憶として定着したかどうかについて自覚的であることでしょう。「大丈夫、覚えた」と思えばそこで止めてしまえばいいし、「まだ覚え切れていない」と思うならばさらに繰り返す必要があるということです。そのあたりの自覚を促すのが指導の側のポイントの一つです。

 ただ繰り返すだけでなく、何らかのイメージを付与することで定着が容易になります。

○論理性 断片として覚えるのでなく、「~だから~」というように関連づけを行うこと。

○有意味性 そこに意味を見いだすこと。いわゆる「語呂合わせ」もこれにあてはまることがあります。

○有情性 「おもしろい」「くやしい」などと感じること。

などなど。 

 こうした点を踏まえて、「講座」では具体的な暗記法・記憶術を紹介します。

○まず暗記するための基本的なフローチャート(流れ)

○論理性・有意味性を付与するための工夫 

○記憶を促す環境作りについて

○複数の感覚器官を刺激すること

などなど。

 

 指導の現場において生徒の様子を見ていると、矯正の必要を感じることが多々あります。

○暗記用のカード(単語帳など)は作らない……時間がかかりますし、カードを作ることが目的になってしまったりします。

○ただ眺めているだけでなく発音しながら書いて覚える……さらに座っているときより立って歩いている方がよいとも言われます。

○原則としてまとまった時間をあてない……まとまった勉強時間(たとえば1時間とか2時間とか)があるなら、その時間は「考える」時間にあてる。暗記はスキマ時間を利用する。


 繰り返しになりますが、暗記・記憶術なるものは自分にとってピッタリするやり方を見つけることが大切なのであって、中学生ぐらいですと、自然に身につけていく生徒もいれば、いつまでも苦労している生徒もいます。より早い時期に方法を確立するためには、方法論に関して自覚的であることが第一歩だと思います。小学生や中1・中2の早い時期から取り組んでおくとよい課題であるし、したがって、指導者側の課題でもあります。