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学習の技術講座③ メモの取り方1

 前回、ノートの体系 について書きました。これを踏まえて、メモの取り方講座 。


 授業中に生徒がすることは、聞いて理解することと、書いて記録すること。われわれが指導を通じて経験的に感じていることは、生徒はノートをとることに気を取られて聞くことをおろそかにしがちだ、ということです。そもそも、教師の話と同じスピードで生徒が書き留めることはできませんから、ここに、メモを取る技術ということが必要となるわけです。

 これも経験的に感じていることですが、いわゆる「勉強のできる」生徒はメモを取ることが上手です。学習の成果をあげるための第一条件といってもよいくらいです。例を挙げます。授業中顔をあげて聞きながらブラインドでノートをとる(ときどき下を見て確認する)生徒。同じく顔をあげて聞いているが手は全く動かさず、話の切れ目に来たところでささっと手を動かしてメモをとってしまう生徒。毎年、時期を見てこうした実例を挙げながら「聞くことに比重をおく」という話をします。がらっと変わっていく生徒もいますが、やはり多くはついつい顔を伏せたままになってしまうようです。

 下を見ると何が問題なのか。教授内容にもよりますが、たとえば数学で図形の説明をするとき、当然図を板書して視覚的な解説を織り込みます。「こことここが等しくなって……」などと説明しているときにかまわず下を見ていたら理解が遅れます。そこで、小学生や中学生でも低学年など初歩的段階では、説明するときにはシャーペンを置いて聞かせる、説明が終わったらノートをとる(板書を写す)時間を特にとる、というような指導法をとります。当然、授業の進度は遅くなる道理です。受験生ともなると、視覚に訴える説明がおこなわれる場合には、顔を上げて聞いて同時にメモをするという(先に挙げた例で言えば、「話の切れ目で一気に書く」方が技術的には高度と言えるでしょう)技術が生徒の側に要求されます。一方、視覚的な理解をともなわない(板書は用語の漢字表記を行うだけなど)場合には、生徒全員が下を向いてメモをとっていても問題はなさそうですが、理解度を表情で確認することができなくなるという、われわれからすると困難な問題が残ります。要するに、「メモを取る技術」は学習の根幹にかかわることがらであり、その習得はきちんとしたステップを踏まずにいると学習効果にばらつきが生じざるを得ない、というわけです。

……続く。