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「成績」について①

 生徒・保護者と話しているときはもちろん、われわれ指導者の間ですら、ふつうに使われている「成績」という言葉。いったい「成績」とは何を意味するのでしょうか? 受験の意識がまだ本格的でない場合、「成績」とはいわゆる学校の「評定」を指しているように受け取れます。いわゆる内申書において5段階ないし10段階で評価される、あれです。受験生ともなると「偏差値」を指しているでしょうか。少し考えてみます。


 まず、生徒の学習状況を把握する指標として以下のものがあると考えます。 

①学力

②偏差値

③得点力

です。

 ①学力は、学習によって生徒が身につけた力であって、数値化された状態ではありませんから「成績」とは呼べないかもしれません。ただし、どんな質量であったとしても、そして外から見たら不満足なものであったとしても、学習をしたらその分学力は上がっているはずです。「成績が伸びた/伸びない」と言われるものは、この「学力」ではないと言えるでしょう。もちろん、以下に考える意味での「成績」とは、この「学力」が数値化されたものですから、まず考えるべきはいかに「学力」を伸ばすかという点であることに間違いはなさそうです。

 ②偏差値。受験生と保護者ならば、おそらくこの「偏差値」の意味で「成績」と言っていることが多いように思われます。もちろん、この「偏差値」で数値化されるからこそ受験校の選択が可能になるわけで、その意味ではある時期においては「偏差値」が重要な判断材料となるでしょう。しかし、われわれの実感から言えば、「偏差値」は「めやす」であり、現状の「偏差値」で指導が左右されることはないと言ってもよいかもしれません。受験勉強の早期の段階では「偏差値」より以上に、授業中の様子やちょっとした発言内容、提出されたノートの内容によって「可能性」を感じるもので、むしろこちらの方を信じられないで受験の指導者は務まらんとさえ思います。また、受験の大詰めの段階では、「偏差値」よりも過去問の点数の方を重視しています。「偏差値」は模試における集団の中での位置づけです。「みんなが頑張っていれば『偏差値』は変わらない」のは当然の道理です。「偏差値」が上がらない=勉強していない(少なくとも効果的な勉強になっていない)、は誤りです。「偏差値」が模試における「成績」である以上、特定の高校・大学の出題傾向を踏まえた上での「成績」でもありません。「偏差値」に一喜一憂しないこと。受験の世界において、「偏差値」と同義のものとして「成績」という言葉が共通言語になっているとすれば、認識を改めたいものだと強く思います。もちろん、保護者の立場に立ったとき、わが子の学力を測る数値、つまり受験校選択の判断材料として「偏差値」に着目せざるをえないのが現状でしょう。ですから、「偏差値」は冷静に追いかける必要があります。